コンフリクト 選択麻痺がおこる理由

場の理論における状況の一種で、どちらを選べばいいのか選択できず身動きが取れない状態のことをコンフリクトといいます

このコンフリクトについて勉強していきましょう

場の理論とは

心理学における場の理論は、社会心理学や臨床心理学などの分野で用いられる概念で、人々の行動や感情、思考を他者や環境との相互作用の中で理解しようとする枠組みです。この概念は、人々が相互に影響し合う社会的な環境や文脈を指すのに使われます。

  1. 社会的場:社会的場は、個々の行動や思考が社会的な環境との相互作用の中で生じるという考え方を表しています。この概念によれば、人々は常に社会的なコンテクストの中で存在し、その環境と相互に影響し合いながら行動します。これは社会的な相互作用が個々の行動や認知にどのように影響を与えるかを理解するための重要な枠組みです。
  2. 場の理論と自己:場の理論は、人々の自己概念やアイデンティティ形成にも関連しています。自己は社会的な環境や他者との相互作用の中で形成されると見なされます。他者との関係、社会的役割、文化的背景などが、個々の自己概念やアイデンティティ形成に影響を与えるとされます。
  3. 社会的影響:場の理論は、社会的影響や集団の力学を理解する上でも重要です。人々の行動や意思決定は、周囲の社会的環境や他者の影響を受けることがあります。社会的場の中で他者との相互作用を通じて、人々は自己を形成し、行動を決定していくと考えられます。

心理学における場の理論は、個々の心理的プロセスを社会的な文脈の中で理解するための重要なアプローチとなっています。社会的環境や他者との相互作用を考慮することで、より包括的な心理学的理解が可能となります。

コンフリクトとは

ある場において対象が2つ以上あるときに、それぞれの対象から正の誘発性(接近)または負の誘発性(回避)が生じます

その際に、それぞれの誘発性が拮抗してどちらも選択できずに身動きが取れなくなることがあります

このような状況をコンフリクト(葛藤)といいます

まず、近接×近接は例えばケーキとクッキーのどちらかしかおやつが食べられない場合などが当てはまります

ビュリダンのロバ

近接×近接の状態を表す例としてビュリダンのロバというものがあります

これはジャン・ビュリダンによって提案された思考実験です

飢えたロバが等しい距離に2つの質・量ともに等しい飼料が置かれた状況を想定します。ロバはどちらの方向に進むべきか決める際に、どちらの飼料も同じに見えるため、どちらの方向を選ぶべきか迷ってしまいます。ビュリダンのロバは、このように決定を下すための判断基準がない場合に、選択が行き詰まる状況を表現したものとされています。

この概念は、哲学や心理学において、意思決定の困難さや決定の根拠の欠如に関する議論の中で使われます。ビュリダンのロバは、選択肢が複数あり、それらの選択肢に明確な優劣がない場合に生じる決定の難しさを示唆するものとして、さまざまな哲学的議論や実験において引用されることがあります。

この概念は、合理的な決定を行う上で、選択肢の間に明確な優先順位を設定することの重要性を強調するために使用されることがあります。

ジャン・ビュリダン(Jean Buridan)

ジャン・ビュリダン(Jean Buridan)は、14世紀のフランスの哲学者、物理学者、そして神学者でした。彼はオックスフォード大学やソルボンヌ大学で学び、後にソルボンヌ大学で教鞭を執りました。彼はアリストテレスの哲学に基づく思考と、新しい考え方を組み合わせることによって、中世後期の思想に大きな影響を与えました。

ビュリダンは物理学の分野でも活躍し、『天体運動について』などの著作で、アリストテレスの天文学的モデルに疑問を投げかけ、新しいアイデアを提唱しました。彼はアリストテレスの自然哲学に対して批判的であり、自然現象を実験的な観察と理論的な推論に基づいて説明しようとしました。

哲学的には、ビュリダンは意思決定理論に関する議論で知られています。彼の名前は、ビュリダンのロバとして知られる有名な思考実験に由来しています。この実験は、決定を下すための明確な基準がない場合に生じる決定の難しさを示唆しています。

ビュリダンは中世後期の重要な思想家であり、彼の哲学的なアイデアは後の時代の哲学や科学の発展に影響を与えました。彼の対立するアリストテレスの伝統と新しいアイデアを統合したアプローチは、近代科学の形成に貢献したと考えられています。

近接×回避の例はケーキを食べたいが太りたくはないという状況があてはまります

回避×回避はテレビを見たいので今寝るのも嫌だが、睡眠不足で明日起きるのがつらいのも嫌といった状況を指します

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