PAC思考 論理的思考(ロジカルシンキング)の間違った前提を見つける方法

PAC思考とは?

PAC思考のPACとはPremise(前提・事実)、Assumption(仮定)、Conclusion(結論)の頭文字でロジカルシンキングの中で使われる思考方法です

PAC思考の解説に入る前に、まず仮説思考について知っておく必要があります

仮説思考

何か行動を起こすときに、もっている情報や知識に基づいて仮説を立てるという思考法。解決策をすぐ思い浮かべるために役に立つ思考法で、少ない情報で正解を導くことができるようになる


PAC思考は、この「仮説」を検証するときに使うものです

仮説をを取り巻く状況を見ていくときには、論理的な正しさを検証する必要があります
事実と結論を結びつけている仮定が正しいかどうかということは、仮説思考のキモになる部分ですだからです
もし仮定が間違っていたら、元にしているのが正しい事実であったとしても、導き出される結論がまったく違ったものになってしまいます

PAC思考では、仮定をサポートしている事実、仮定に反する事実などを見つけて、仮定が正しいかどうかを検証します
そうやって問題を解決するための仮説の正しさを検証し、もし仮説が間違っていたら修正していくわけです

注意!” 仮定と仮説は異なる

「仮定」と「仮説」という言葉が登場していますが、これらは異なるものです
ここではPAC思考によって検証する対象が仮説、その仮説を構成する結論と前提の間にあるのが仮定です

PAC思考ではこの仮定を疑うことで、仮説全体の正しさを検証します

PAC思考の手順

PAC思考では以下の手順で考えていきます

  1. テーマをPACに沿って分解する
  2. 仮定の正しさを確かめる
  3. 前提の正しさを確かめる

下でもう少し詳しく見ていきましょう

1.テーマをPACに沿って分解する

PAC思考で検証したいテーマ(仮説)を設定し、設定したテーマを前提・事実、仮定、結論にそれぞれ分解します

2.仮定の正しさを確かめる

PACの項目に分解できたら、まずは仮定に注目し、その正しさを検証するために問いを投げかけます

対象のテーマの中でおいている仮定が間違っているとわかれば結論を修正する必要があります

3.前提の正しさを確かめる

仮定だけでなく前提としている情報も疑う必要があります
完全に誤りでないにしても、個人の解釈によって美化されていたり、誇張されて伝わっていたりして判断材料として不適切な場合もあります
たとえば「海外のセレブに大人気」「今、若者の間でブームになっている」といったよく目にするフレーズは、本当に事実だと言えるでしょうか?それを前提・事実にしてしまうと、信憑性のない結論が導き出されてしまうことになります

PAC思考の例

仮説を立てる
これまで地域誌へ広告を出すことで、売り上げを増やしてきた。地域性の高い商品はエリア特化の媒体での広告効果が高い。だから次回の新商品の販促でも地域誌に広告を出す。

P・A・Cに分解する
これまで地域誌へ広告を出すことで、売り上げを増やしてきた。  → 前提・事実(P)
地域性の高い商品はエリア特化の媒体での広告効果が高い。    → 仮定(A)
だから次回の新商品の販促でも地域誌に広告を出す。       → 結論(C)

仮定(A)に疑問を投げかける
”広告効果が高いというのは本当か?”など
これによって仮定(A)がおかしいとわかったら、結論(C)はくつがえってしまうので最初に立てた仮説は間違っていたとわかる

場合によっては前提・事実(P)にも疑問を投げかける
”本当に地域誌へ広告を出したから売り上げが増えたのか?”など

このように、PAC思考によって、価値判断が正しいかどうか、うっかり思いついた仮説にとらわれてしまって、バイアスによって間違った因果関係を信じてしまっていないかといったことを検証していきます

間違った因果関係の見つけ方

因果関係がないのに因果関係があると思い込んでしまったり、その逆に、因果関係があるのに因果関係が無いと思い込んでしまったりすることはよくあります
これにより、前提・事実(P)に対して誤った仮定(A)を立ててしまうことがあります
誤った仮定(A)は、それ自体がバイアスとなりますから、悪循環となり、その結果ロジカルシンキングができなくなってしまいます

複数のものごとを同時に認識すると誤った因果関係を見つけ出してしまいがちです
同時に認識したことが多いほど、因果関係があるという思い込みが発生してしまうのです。
本当に因果関係があるか、あるとすればどんな因果関係かという意識をもってロジカルシンキングを行っていく必要があります

とくに、いくつものものごとを同時に認識した場合は、より緻密に因果関係を把握するようにしましょう
また、その時点では認識できないようなものが関係しているような場合には、認識できていないものとすでにわかっていることとの因果関係があることを見落としがちになります
たとえば、五感で認識できないような原因は見落としてしまうことがよくあります。また、過去の現象というようなものも見落としがちです
これは、人間には「見えるものや、よく知っていることから考える」傾向があるからです

PAC思考を使うときのヒント

変化のスピードが速い現代において、前提の正しさが時間経過とともに変わってしまうのはふつうのことです

1年前に正しかったことが、今日は間違っているということもありえます

思考に行き詰まった時には過去の経験から導かれた結論の仮定や前提を疑ってみましょう

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