突然ですが問題です
コイントスを行って表が2回連続で出る確率はいくつでしょう
正解は1/4です
1回コイントスをして表が出る確率が1/2で、2回連続の場合は1/2×1/2なので1/4という計算です
中学校か高校で確率の勉強をしたときによくある計算で、こんなのはたいていの人が簡単に解けてしまいます
ですが、この計算を日常生活に応用するには1つ忘れていはいけない前提があります
それはそれぞれの事象が”独立”であるということです
これは今回の例で言うと1回目のコイントスの結果と2回めのコイントスの結果がお互いに影響しないということです
それを忘れて間違った解釈をしてしまったのがイギリスのロイ・メドウという小児科医が主張したメドウの法則です
確率を間違った使い方をしてしまわないように、反面教師としてこの記事ではメドウの法則について考えてみましょう
そんなふうに僕たちの心は希少性にくすぐられて興味を掻き立てられているときがあり、物を僕たちに売りたい側はその仕組みを使って僕たちに物を勧めてきます
メドウの法則とは
イギリスの小児科医ロイ・メドウは一家族に乳幼児突然死症候群が連続発生する事例を調べた経験則として、次のように述べていました
反証がないかぎり、1人目の赤ちゃんの突然死は悲劇だが、2人目の突然死は怪しいし、3人目なら殺人だ
引用元:人はどこまで合理的か 上 草思社
1999年には、弁護士のサリー・クラークが2人の子供を立て続けに亡くした事件の裁判で、”喫煙者のいない裕福な家庭で乳幼児が突然死する確率は1/8,500であり、それが2人続く確率はその2乗の1/72,000,000である”と証言しました
つまり本当に乳幼児突然死症候群が2人続けて発症することなど、ほとんどありえないので2人続けて子供がなくなったら殺人の可能性が高いといっているのです
メドウの証言もあって、クラークは殺人罪で無期懲役の判決を受けました。
このあとこの法則の間違いを指摘され冤罪であることがわかったのですが、メドウの法則にはどんな間違いがあったんでしょうか
メドウの法則のおかしいところ
乳幼児突然死症候群の原因はわかっていませんが、1つの家庭で2度の乳幼児突然死があったとしてそれぞれの事象が独立であると言えるでしょうか
兄弟姉妹で突然死につながるような遺伝的要因をもっていたのかもしれないし、家庭内に危険因子があったのかもしれません
また、1人目がなくなったあとに家庭でなにか突然死の対策が取られたかもしれません
このように1人目と2人目の突然死は独立な事象ではなく、また1人突然死が起きてしまった家庭で2人目の突然死が起きてしまう確率は、単純な乳幼児突然死症候群を発症する確率とは異なると考えられます
なので最初のメドウの証言出でてきた数字を使うと1人目の突然死が1/8,500の確率で起きたとして、同じ家庭で2人目が突然死する確率は1/8,500ではなくもっと高い確率かもしれないということになります
このように2つの事象が続けて起きる確率を計算するときに安易にそれぞれの確率をかけ合わせてはいけない場合があります
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