ゲームの世界で起こったパンデミック
世間では、インフルエンザが流行ってます。
私もインフルエンザで会社に行くことができず、家でこの記事を書いてます。
この世の中には様々な感染症があり、時にそれは世界中に広がり、数百万人規模の死者を出す事態になることもあります。
この記事では、以前オンラインゲームの世界で起こったパンデミックともいえる現象についてまとめてみました。
この手のゲームには詳しくないのですが、この出来事のことを2ちゃんねるまとめサイトで最近知り、個人的にとても興味深かったので、調べてみました。
関連記事:ゲームで利用される人の心理
Corrupted blood incident 汚れた血事件
この事件は、World of Warcraft(WoW)という大規模多人数同時参加型オンラインRPG(MMORPG) の世界で起こりました。
発端は、ハッカルというボスキャラクターの”汚れた血”という技でした。
この技の効果は、3秒の間、一定のダメージを対象に与える。この効果はかかった対象の隣の対象にもかかる。解除不能
というものでした。ポケモンでいうと毒状態でしょうか。
毒の強さは、上位プレーヤーで体力の10%減るくらい。低レベルのプレーヤーなら即死してしまいます。
また、この技はダンジョン用であり、ダンジョンから出ると効果は消えます。
ゲームを作った人たちとしては、単にボスとの戦闘を難しくするために、この技を作ったんでしょうね。
しかし、この技の設定に落とし穴がありました。
WoWにはpetという仲間を召喚して戦うキャラクターがいます。
このpetに効果がかかったまま、召喚を解除すると毒状態はダンジョンを出ても消えません。
こうして、ダンジョンの外にも”汚れた血”が持ち出されてしまったのです。
まあ、この辺は正直、ゲームの設定とかの話なので、わからなくてもいいと思います。
設定にほころびがあって、運営の意図しない形で毒が、ゲームの世界に広がることになってしまったということですね。
ダンジョンから放たれた”汚れた血”はどんどん広がっていく
“汚れた血”はNPC(プレーヤーが操作しないキャラ)にも感染するため、ずっとその場にいる”町の住民A”みたいな人にも感染しました。
NPCは死なないので、隣合うそれらのキャラがお互いに感染を繰り返し、消えない感染源となりました。
そのせいで、普段は安全なはずの町の中でも、NPCの近くを通っただけで、毒にかかったり、低レベルプレイヤーなら死んでしまったりで混乱が起き始めます。
ここで、WoWの運営は、低レベルプレイヤーを退避させ、伝染した高レベルプレイヤーの移動を禁止しました。
しかし、混乱で話を聞かない人、感染して復活してまた感染して死ぬ人、愉快犯や八つ当たりでわざと感染し、伝染区域を広げる人がいたり、伝染病を避難区域にわざと持ち込むテロのような行為まで、行われました。
最終的には運営はサーバーを閉じて運営を停止することで、一連の事件を収束させました
現実世界でも起こりうる?
この一連の”汚れた血”の伝染と人々の行動は、生物兵器テロや感染症に対して人が示す行動の研究の題材にもなり、学術誌Lancet infectious diseasesにその論文が掲載されたそうです。
その中で図にはWoWのキャプチャ画像もあるようです。
ネットで調べてみると31.5USドルで購読できるみたいなので、興味のある方はぜひ読んで、私にも中身を教えてください笑
サマリーだけは見ることができたので、簡単に訳してみます。
シミュレーションモデルは疫学の分野でますます重要になっている。しかしながら、それら人の行動にあてはめることはまだほとんどできていない。
最近、仮想世界で起きた事件はシミュレーションの可能性を広げる素晴らしいサンプルになる
筆者らは、この事件や、感染症のシミュレーションをどう改良していくか
について議論した。
引用:https://www.thelancet.com/journals/laninf/article/PIIS1473-3099(07)70212-8/fulltext
あんまり具体的なこと書いてない上に、私の英訳もいまいちであんまりいらないかもしれないです。この数行。。。
ゲームの中でも現実世界と同じような行動をとる人がたくさんいた
前半にも少し書きましたが、”汚れた血事件”のときには、プレイヤーは様々な行動をとりました。
- 治療できる魔法を使える人は、治療を申し出る
- 感染して死んだ人は、チャットを使って「ここから離れろ」と指示する
- 未感染者は感染者と距離をとる
- 感染者を隔離しようとする
- 言うことを聞かず、感染を広げようとする人がいる
このへんはまだ、なんとなくわかります。ですが、こんなリアルすぎて意外なできごともあったようです。
- 無駄なのに人助けの為にずっとヒールや解除魔法を続ける人
- 仲間が死んでも退避せず仲間の周りをずっと回るプレイヤー
- 感染者同士集まって静かに死を待つ人
ゲームなんだから死んでもリセットできると軽く考えてしまうのは私がこのゲームをプレイしてないからでしょうか。
ゲームの中のできごとで、こんなにも様々な人の行動が見られることがとても興味深く感じました。
まとめ
仮想世界で、このような大規模な事件が起きていたことを知ってとても驚きました。
まず、最初に思ったのが、ゲームを作るのって大変だなーということ笑
あまりこの記事のテーマとは関係ないですが、いろんなプレイヤーの行動を想定して、その全てにおいて、運営側の意図した結果になるようにするというのは、すごく難しいんだろうなと思いました。
あとは、後半に書いた色々な人の行動に、人の心の不思議な部分が見えているようで、とても面白かったです。
とはいっても実際に自分の身にこんなことが現実世界で起きたらと思うとぞっとします。
この事件をきっかけに、みんなが無事に助かる方法が見つかってほしいですね。
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